このままではどうせ、
仕事も身に入らなそうだし。
口実なんて、なんでも良かった。
渋る藍川を半強制的に社外へ連れ出すと、
有名ブランドが立ち並ぶ通りまでやってきた。
「…どういうつもりですか?」
至極当然な質問に、
俺は無理のある理由をくっつける。
「仕事に必要なものを買い揃えているだけ、だけど。」
「こんなドレスが仕事に必要ですか?」
「原田社長にお気に召してもらうためにな。」
「でも、他の仕事をほっぽり出してショッピングなんて…」
「今日の仕事は後日やればいい。何とかなんだろ。
今は何よりも明日のパーティーが一番大事なんだ。」
「何とかなる…って。そんな、適当な。」
「うるせーよ。お前は余計な事を考えなくていい。つべこべ言わずに試着して来い。」
暫く…。
というか…結構長い間待たされたけれど、
「どうですか…?」
試着室から出てきたドレス姿の藍川を見て、
すぐに許すことに決めた。



