それから、
私達は駅前へ行って、

嫌がる社長の背中を押して
大衆店の居酒屋へ入り、

今までのこと、
面白おかしく話しながら
お酒をのんで。



のんで
飲んで
呑んで






…私たちが最初に会った日、
桐山社長の第一印象は最悪で

散々いろいろあったけど、
やっぱり社長は意地悪で

それでもたまには優しくて、

仕事をしている姿勢は尊敬できた。


そしてやっぱり。


気付いた時にはもう…。





この1ヶ月弱、
私は忘れられない経験をした。




仕事も、恋も。




私が居酒屋に
男の人を誘うなんてこと、
もうこの先一生ないんだろう。



社長に気付いてほしかったけど、
やはり気持ちは口に出さなきゃ
伝わらないみたいだ。



酔い潰れた帰り道。
桐山社長にタクシーに乗せられて、
私はそこで社長と別れた。




明日から、
私は本当に元の社員に戻るんだ…。




…おかしいな。







実感したら、






なんだか…






涙が止まらないの----。





私は一体、何を期待してた?



だって私が一度
あの人を拒んだんじゃないか。



キライって、



大嫌いって………。





それでも秘書でいれば
側にいることが許されたから。




あの人の彼女になったつもりでいたつもり?




明日からも何も変わらないじゃないか。





だって。
私とあの人は




最初から


ただの部下と、上司なんだから-----。