恋から始まるミステリー。


えぇっ!?あの高橋幸次郎先生は、
高橋さんのお祖父様だったの?

いや……確かに。
同じ苗字ではあるが……珍しくないし。

「祖父の書いた小説。
実は、僕も好きなんですよね。
優しくて面白い人でした」

懐かしむように本を見ながら
話をしてくれた。

「だから祖父の本を嬉しそうに借りる
あなたを見ていたら
僕も気になって……来るのを楽しみに
待つようになっていました。
でも、食事に誘うにも勇気がなくて」

「だからミステリー好きだと知っていたから
誘うために仕組んでみたんです。
これなら、興味を持って
頂けるんじゃないかって思いまして」

恥ずかしそうに頭をかきながら
そう言ってくれた。

そのために……!?

高橋さんが暗号の持ち主だったのも
驚きだったが、何より
彼がそんな風に私を想っていたことに驚いた。

「あの……良かったら
これから食事とかどうですかね?
お茶でもいいですけど……」

頬を赤く染めながら
食事の誘ってもらえた。

まるで夢を見ているようだった。

私自身も同じことを想っていたので
嬉しくて仕方がない。

私まで赤くなっているだろう。