手をハァッ…と吹きかけて
温めていると高橋さんが出てきた。

「すみません。遅くなりました」

そう言いながら

あ、やっぱり高橋さんだった。
私は、胸がドキッと高鳴った。

「あ、いえ。大丈夫です。
あの…これ。高橋さんが?」

私は、彼にあの暗号の手紙を見せた。
すると高橋さんにハハッと苦笑いする。

「はい。実は…僕なんです」

やっぱり…。

「どうして?」

どうしてわざわざこんなややこしいことを
するのだろう?
司書の高橋さんなら用事があるなら
声をかけてくれればいいのに。

すると彼は、徐に鞄から
一冊の本を出した。

あれは……。

「実は、この作者・高橋幸次郎は、
僕の祖父なんです」

彼は、衝撃的なことを告げてきた。