今日かかってきた電話の中で類衣さんが言っていたことが本当ならば、この人たちは、”紅嵐”。

「あなたたちは、族なんだよね?」

「そーだね。……でも、暴れたりはしてないよ。あくまでもここ一帯を納めてる」

”花鳥風月”……この組織と、働きが同じだ。

彼らに連れていかれると、どーなるのかはわからないけど、酷いって聞いたことがある。

だから、彼らが出向く監視のときは、繁華街には滅多にひとがいない。

「……名前は?」

雛は言っていた。『どんな女の子でも、それだけは教えてもらえない』と。


「……それは、教えられないんだよね」

彼はあたしに、苦笑を見せた。

「俺たちの情報はシークレット。どんな情報も、漏らす訳にはいかない。」



「なんか変な空気になったねっ!ほら、唐揚げでも食べよっ」

彼は玻取と同じように、はぐらかした。

雛は、下っ端の人達と楽しそうに喋っている。

「……雛は、知っているの?」

「…ごめんね、それも言えないんだ」

彼はその瞬間、あたしの顔を見なかった。

その後、あたしはもうその事を聞かなかった。そうしたら、もっと楽しかったから

聞かなかったら、さっきみたいな雰囲気になることもないから。

……だけど、あたしは彼らと共にいる。だから、知りたかった。




「雛凛、姫、風呂。」

「どこの使うの?」

幹部室に集まってだらけていたあたしたちのもとに、紫土が帰ってきた。

……こう見ると、”幹部”だってことはあたしに知られても大丈夫なんだなって思う。

「総長室の隣の部屋に沸かしたから、入れよ。」

雛があたしに先に入ってというから、あたしが先にいく。

ここの倉庫の作りは二階建てみたいな感じで、幹部たちがいるところは2階、みたいな感じになってる。

それから2階はよく空がみえる。部屋までは広い廊下になっている。

そこから、輝く星と月がみえるのだ。