闇のあたしを光が照らして。

「…姫凛?大丈夫?」

「……あ、うん。」

全てを知っている雛は、あたしのことを気遣ってくれる。

「この学校には、西塔と東塔がある。間違っても西塔にはいくなよ」

…西塔には、あの人たちがあるということだろうか。

「…どうして?」

「どうしても、だ。」

櫂茉は何故か、あたしの頭をポンポンして、学ランを肩に掛けて屋上の影にいった

気分が乗らないといった張本人の紫土は日陰で寝ている。

瀬吏は黒縁メガネをかけて、相変わらずパソコン。

玻取はスマホをいじっていて、陽楓と雛はなにやら話している。

「……みんな、個性的だよね」

あたしは苦笑する。

「…まあね。姫も東塔なら俺らのテトリーだからどっかいっても大丈夫だよ」

そう言われたあたしは、学校体験へ。

授業は始まってしまったんだけど。

このひとたちには、成績なんて関係ないのかな。

それとも、授業でなくても点数とれるとか。

先生たちに見つからないようにこっそり動く。、

「……西塔、ねぇ。」

窓から、ここの対になる校舎であ西塔をみる。

「……気になりますか?」

「…わぁっ!びっくりした…」

声をかけてきたのは、黒縁メガネをかけた瀬吏。

「あなたに聞きたいことがあります」

まさか、色々調べたのだろうか。あたしのこと。

「あの夜、繁華街にいたのはあなたですよね?」

「……あの夜?」

あの夜というのはきっと、あたしと瀬吏が初めて出会った夜のことだろうか。

「……”花鳥風月”のトップが君臨した日。それは知っているでしょう」

「そうね。あたしはあの日繁華街にいたわ。」

あたしは瀬吏の方に向きなおした。

「……でも、いいの?そんなに易々と名前を出してしまって。」

「別に構わないよ」

敬語がとれた、低い声。まるで地を這うようだ。

「……君は雛凛とは随分ちがうんですね」

「なんともいえないわ」