私の耳は、都合のいい聞き間違いをしているのだろうか?

「そ、それって…」

社長は形のいい唇をあげて笑うと、
「好きだよ」

そう言って、私と唇を重ねた。

「――ッ…」

これは、夢なのだろうか?

重なったその唇が離れた瞬間、
「――私もです…」

私は社長に言った。

驚いたと言うように目を見開いている社長に、
「私も社長が好きです」
と、言った。

「それはつまり…」

「両思い、ですね」

何だかおかしくなって、私たちは一緒に笑った。

「よかった」

社長はそう言うと、私を抱きしめた。

私はその背中に自分の両手を回して抱きしめ返した。

「どうしよう、今すぐに君が欲しくて仕方がない」

そう言った社長に、私の心臓がドキッ…と鳴った。