…言うまでもない、かなり酔っぱらってる。

「マスター、同じのをもう1杯」

陽葵ちゃんは空っぽになったグラスをマスターに差し出した。

「ひ、陽葵ちゃん…」

「何よ?」

「そんなとんでもないことを言って、会社をクビになっちゃったらどうすればいいの?」

めちゃくちゃなことを言っているにも程があるでしょ。

「んー、その時はその時じゃない?

何だったら、私のヒモになる?」

「ひ、ヒモって…」

自分が言ってること、わかってるのか…って、酔っぱらってるからわかってる訳ないか。

小説家として売れてるからお金に関しては大丈夫…かも知れないけど、姉の世話になりたいかどうかと聞かれたらそれはノーである。