「社長は仕事のパートナーとしてはもちろんのこと、結婚相手としても彼女を愛していたのよ」

「結婚相手ですか…」

早い話が社長はその人のことを“女”として見ていた、と言うことだよね?

そう思った私に、
「ああ、でも…髪の毛の中ではあなたが1番キレイだって社長が言っていたわ」

久保田さんはフォローするように言ってきた。

「そ、そうですか…」

“髪の毛”は、ですよね?

少なくとも“女”として思われていないと言うのは確かなことだ。

「さあ、仕事しましょうか」

そう言った久保田さんに、
「はい、そうですね」

私は返事をすると、すぐに仕事に取りかかった。

だけども、胸の中ではモヤモヤとした感じが支配していた。