「佃さん、やりましたね!」

そう言って声をかけてきた田原に、
「私は何もしていないですよ。

ほとんどは田原さんの努力じゃないですか」

私は首を横に振って言い返した。

「でも、佃さんがいなかったから契約は成立しませんでしたよ!」

実に暑苦しい…。

声もデカいし、存在そのものも暑苦しい…。

何が“やりましたね!”だ“契約は成立しませんでしたよ!”だ。

あっちが出した条件とこっちが出した条件がたまたま一致していたようなものだったから契約が成立したようなもんでしょうが。

「今夜はお祝いに一緒に飲みに行きましょうよ!」

そう声をかけてきた田原に、
「すみません、今日は姉と会う約束をしているので」

私は断った。

「そうですか、仕方ないですね」

田原はやれやれと言うように笑ったのだった。