「えっ…?」

今、何とおっしゃいましたか。

「か、髪の毛フェチですか…?」

何ですか、それ。

「黒髪でストレートで健康な髪が社長の理想なのよ。

佃さんはまさにその理想全部に当てはまっているのよ」

「は、はい…?」

何そのジョーダンは…。

「せっかくの美しい髪をひっつめるのはもったいないわ」

久保田さんはそう言うと、髪の毛先に手を伸ばした。

「それにしても、本当に何もしていないの?」

そう聞いてきた久保田さんに、
「はい、これと言って特に何もしていないです…。

シャンプーやリンスもドラッグストアで売っているものですし…」

私は答えた。

何なんでしょうか、この展開は…。

佃芽実、心がポキッと根元から折れました。