観察するように見つめている社長に戸惑っていたら、
「大丈夫ですか!?」

スピーカーから聞こえた声に、私はホッと胸をなで下ろした。

よかった、助けがきた!

社長は手に取っていた髪の毛をを離すと、
「はい、無事です」
と、スピーカーに向かって返事をしていた。

その後、私たちは駆けつけた業者たちのおかげで無事にエレベーター内から脱出することができたのだった。

やれやれ、災難だった…。

しばらくは階段を使うことにしよう…。

エレベーター内から脱出できたことにホッとしたのはいいけれど、1つだけ気がかりなことがあった。

「何か変わったところがあったのかな?」

観察するように髪の毛を見つめていた社長を思い出しながら、私は指で自分の髪の毛先をつまんだ。

特に変わっている様子はない…と思うんだけどなあ。