「私もね…」

私は話を切り出すと、
「少し前だけど、社長と両思いになったんだ」
と、言った。

「えっ、そうなの!?

おめでとう!」

今度は陽葵ちゃんが私に抱きついてきた。

「芽実、よかったね!

お姉ちゃん、とっても嬉しいよ!」

「ありがとう、陽葵ちゃん」

自分のことのように喜んでいる陽葵ちゃんにお礼を言ったら、彼女は何かに気づいたと言うように私から離れた。

「どうかした?」

そう聞いた私に、
「芽実、何かあった?」

陽葵ちゃんが聞き返してきた。

「えっ、どうして?」

「…何か様子がおかしいよ」

さすが、お姉ちゃんである。

田原の件がまだ胸の中で引っかかっているのだ。

「もしかして、社長と両思いになったことを後悔しているの?」

「…そう言うのじゃないんだ」

陽葵ちゃんの質問に、私は首を横に振って答えた。