「お、何?柴田たち、課題やってんの?俺も混ぜて~!」



そう言って近づいてきたのは、同じクラスの里中くん。

陸上部のエースらしい。



「いいよ。じゃあ、ノートとか持って来てね」

「ありがとう!持ってくる!」



…彼は、運動神経と顔は、ものすごくいいけど…。







「うーん、わからない…!」



頭が、致命的に悪い。



「おーい、里中!そんなんじゃ菜帆にいいとこ見せられないぞ~!」

「由奈ちゃん…。私にいいとこ見せるとか、そんな必要ないよ…。そもそも、課題教えてる時点で、いいとこも何もないと思うし…」

「菜帆って、結構ズバッと言うよね…」

「でも、里中くんは、体育の時とかかっこいいと思うから、そんなに気に病む必要ないと思うよ?」



…こんなこと拓海さんの前で言ったら、何されるかわかんないなぁ…。

いなくてよかった…。

言うまでもなく、拓海さんの方がかっこいいけど。



「ちょ、菜帆…」

「え、なにかマズいことでも言った…?」



不安になって里中くんの方を見ると…なぜか、里中くんの顔が真っ赤だった。

…里中くんも、褒められると照れやすい性格なのかもしれない。



「…菜帆って、天然小悪魔だよねー」

「小悪魔?」



拓海さんにも言われたけど、どういう意味なんだろう。



「同棲してる彼氏さんとは?キスまでしかいってないんだっけ?こりゃ、大変そうだよねぇ」

「ゆ、由奈ちゃん…!」



わざわざ、里中くんもいるのに、そんなにわざとらしく言わなくてもいいんじゃないだろうか。