「罰ゲームだろそれ」
人が心を決めて吐いた一言にお前はそんなこといいますか。
それどころか舌をんベーっと出して顔を歪めた彼女の顔が、この世ならざる物に思えるんだから仕方ない。いや、こうだからいいのか。
多香も俺も必要以上に踏み入らない。
男女とかいう生まれ持っての区画に分類されつつも、気が付いたら星が惹かれ合うみたいにそばにいた。当たり前で必然で。離れていちゃつまらないし多分、一人では歩けない。
それが多分人間で。
奇しくも俺もお前もその部類にうまいこと当て嵌っちゃってんだよ。
絶望みたいな淵から抜け出したかった。死んでるみたいに生きていた中で唯一見えた希望に少しでも賭けてみたかった、なんて。
そんなこと言ったら多分厨二かよとかって笑われるんだろうけど。
「多香」
「おん」
夜風が吹いた。
頰を刺す冷たい冬の風に耳を赤くして、首を窄めた俺は振り向かない背中めがけて提案する。
それは愉快な逃避行。
「このまま二人で逃げようか」



