「じゃあ家来る?」


 暇。駄菓子屋行った。ラーメン食った。ゲーセン行った。てっさんいじり飽きた。

 沈黙後3秒間で考えた末に振り絞った勇気はしかし、隣の彼女の顔を心底歪めることになる。


「………日野お前そういうこと言うタマかよ」

「もれなく母親いない」

「日野お前そういうこと言うタマかよ」

「二回言うほど嫌なのかよ」


 多香と、俺は、気がついたらそばにいた。運命とか奇跡とかそういう言葉に縋りたがるのが10代だったとして、お互い出逢った瞬間にそういうものに縁遠そうな二人だと察した。

 だって17と呼ぶには俺の目に光はなかったし、女子高生と呼ぶには多香は生足出してるくせして色気のクソもなくて、人前で鼻水容赦なく垂らして俺のティッシュアシストを待ってるような人間だったから。