「どこいくなにする」

「ゆめやは?」

「日野が遅いからおひとりさましちゃったっつーの」

「マジかよ。んじゃ冬に花火とかどーすか」

「イカすー!」

「いやまず花火ねーわ」

「はいはい!」

「はい多香さん」

「死体ごっこ」

「小学生かお前は」

「そこの道路でさも死んだような素振りしてトラックの運転手が降りてきたら勝ち」

「ガチで引かれたらどーすんだよ」

「日野とか殺されても死ななそう」

「いや殺されたら死ぬわ」


 う──────ん。

「んじゃあと行けるとこっつったらあ」

 指折ってあれこれ提案していく日野の隣で聞いていて、行ってないそこが列挙されると思いっきり手を挙げる。

 二人して顔を見合わせて、しかしその場所を今一度口に出すとうーん、と首を傾げた。


 ❄︎


「よお、お二人さんお揃いで」


 寄ってらっしゃい見てらっしゃい、何か壊れ物があればなんでも安値で直すよ大澤工具店。そんな錆びれた表看板とはお世辞にもマッチしてますと言い難いルックスの、黒髪ロン毛に作業着姿の大澤鉄人(おおさわてつじ)通称てっさんは、

 年齢不詳のくせして小麦色に焼けた肌に乗った程よい筋肉が乙女心を釘付けにするその、典型。


 頭にタオルを巻いて鳶職みたいな見た目が物凄いどストライク。


「暇潰しに来たよ」

「暇だから来たよ」

「お前ら嘘でも依頼に来たとか言えよな」