【プロローグ】



それは、10月のある日の放課後のことだった。

「柚里ぃ、大丈夫だよ。元気だしな?」

「わぁーん、蜜ぅ!!フられたよぉ!」

あたしは親友の柴田蜜(しばたみつ)に泣きついていた。

「それはわかってるから。何回言ってると思ってんのよ…」

「ふぇーん!!」

「あーわかったわかった!だから泣き止みなって」

蜜があたしの頭をなでてくれてあたしはようやく泣き止んだ。

「だからやめときなっていったんじゃん…。岸本は麻由美が好きんだから」

麻由美っていうのはうちのクラスの瀬能麻由美(せのうまゆみ)のこと。

「でもかっこよかったし優しくしてくれたんだもんっ!」

あたしはカバンからフられた相手岸本快斗(きしもとかいと)の写真を取り出した。

「ねっかっこいいでしょー!!」

「おバカっ」