「……私、結婚なんてしたくない!相手は自分の子どもがほしいだけ。跡継ぎがほしいだけなの!私のことなんて、好きじゃないの!!」

両親が連れてきた相手は、大きな病院の院長の息子だった。もうすぐ父が引退するので、自分が病院を継ぐと言っていた。

彼は私のことを愛してなんていない。それは会ってすぐにわかった。彼の話は子どものことだけ。何人産んでほしい。できれば男がいい。子どもには有名な大学に行ってほしい。

私のことなんて、何も考えてくれない人だった。

両親もただ孫の顔が見たいだけで、娘の幸せなんて願ってなどいない。

「愛のない人生なんて嫌だ!愛されたい!大切にされたい!幸せになりたい!」

今まで感情を失った代償のように、口はずっと心の奥底に隠していた気持ちを話し続ける。子どものように泣きじゃくりながら、私はずっと話し続けた。

「私…ずっとあなたが好きでした。今も好きです。でも、もう遅いの。何もかも遅すぎたの」