コンコンッ
「入って…」
「はい失礼します。」
「この企画は君一人で…」
私が抱えた資料の量を見て一瞬黙る
「えっ?」
いきなり手の中が軽くなる
「凄い量だな…」
社長が私の手の中の資料を取りテーブルに運ぶ
「社長…すみません」
「ん?いやこれくらいは…それよりこの量は…」
「詳しくご説明するために一旦デスクに資料を取りに帰りましたから…」
「なるほど、この企画は君一人で考えたものなの?」
「はい。何度か磯崎課長に話しを出したんですけど…」
「磯崎に話しても無駄だったんじゃない?」
「なんでそれを…」
確かに自分の仕事が増えるのを懸念して話しは直ぐに摩り替えられて…
社長がニヤっと笑った気がした。
「そんなことより説明して?」
とにかくこの話しを進めたいから詳しく丁寧に説明をする。
社長をかなり食い付いてくるし、話しがある程度終盤に差し掛かった時
プルルル~
内線で社長は来客に対応しないといけなくなった。
社長室には広がった資料
「対応は隣の応接室で…」
「早速デスクに帰ったら君の話しを進めてくれる?今の仕事は遊んでる磯崎にやらせるから…」
「…はい分かりました。ありがとうございます!じゃあ失礼します。」
慌てて資料をまとめる私の耳に内線で仕事の指示を出してる社長の声が聞こえた。
自分の企画が認められたのが嬉しくて急いでデスクに戻る。
バタンッ
凄い勢いで閉じられたドアの向こうで社長が笑っていた事を私は知らない。
「クスクスクスクス…サクちゃんか…面白い娘だな。」



