「美梨、今日先輩のカフェ行く?」
「ううん、今日は…いいや」
「また?最近全然行かないじゃん。どうした?」
「…」
どうした?なんて、自分でも分からない。
だけどあの日、先輩が私に背中を向けたことを思い出すとどうしようもなく胸が苦しくて…
大好きなはずのケーキを食べたいとも思わず、カフェに足を運ぶこともなくなってしまっていた。
「美梨さぁ…先輩のこと好きなんでしょ?」
「…分かんない。マトモに話したことないし、どんな人なのかも知らないし」
「でもさ、気になってんじゃん?それは“好き”と同じだよ。美梨は先輩に恋してんの。分かる?」
クリームみたいにふわふわで、
イチゴみたいに甘酸っぱい。
まるで、ショートケーキみたいな…
私はずっとそういうのが、恋だと思ってた。
そんな恋に憧れていた。


