先輩がバイトしていることを知ったのは、それから暫く経ってからだった。
そのバイト先というのが、私が中学の頃から胡桃ちゃんとよく行っている駅前のオシャレなカフェで…
その日も、胡桃ちゃんと二人でお気に入りのそのカフェに足を運んだ私はいつものように大好きなイチゴのショートケーキを注文して。
いつも通り、幸せな気分に浸りながらそれを頬張っていた。
『ちょっ!あれ、あんたの推しの先輩じゃん?』
『ん?』
パクパクとケーキを食べ進めていると、向かいの胡桃ちゃんが驚いたような声を出す。
つられるように私も同じ場所に視線を向けた。
視線の先に映ったのは…ーーーー
ハンディターミナル片手に、他のテーブルのお客さんを相手に接客する先輩の姿。
真っ白なシャツに、黒いエプロンを纏った先輩はどこからどう見ても高校生には見えないくらい大人びていて…
なんだか胸がザワザワ騒がしかった。


