訳も分からぬまま、連れてこられたのはカフェのすぐ近くにある公園だった。
そこには楽しそうに遊ぶ子供や、そんな子供を優しい眼差しで見守るお母さん。
他にも、学校帰りのカップルなんかも結構いて…
私達には場違いな気がして落ち着かない。
「ほら」
「あ…ありがとうございます…」
私がキョロキョロ周りを見渡している間に先輩が自販機で買ってきてくれたらしい紙パックのジュース。
差し出されたそれは、私が大好きなイチゴオレだった。
「…イチゴ好きなら、それも好きかなって」
「え?」
ヒューッと吹き抜けた風のせいで先輩の声を聞き取ることはできなかったけれど…
耳が少しだけ赤くなった先輩を見て、風が冷たかったし寒いのかも。って思いながら紙パックに刺したストローに口を付けた。
「…瀬野、」
「はい?」
「瀬野 慶太(けいた)。好きな食べ物は肉。音楽はロックを主に聴き、映画はアクション、SF、ミステリーが好き。恋愛映画なんて論外」
「あ、あの…」


