「はぁ…」
聞こえてきたため息が鼓膜を揺らす。
構えていたハンディターミナルをスッと降ろした先輩は無言のまま私に背を向けて。そのままキッチンへと入って行ってしまった。
それが、先輩の答え。
初めて知った気持ちの名前は、間違いなく恋だった。
私にとって…初めての恋。
それが破れてしまったんだ、と理解できたのとほぼ同時だった。
「…ちょっと来て」
「え…?」
キッチンから出てきた先輩が、立ち尽くす私のすぐ目の前まで歩み寄ってきて。
何事かと驚いて返事をすることもできない私に痺れを切らしたのか、突然先輩に腕を引かれるように店の外へと連れ出された。
よく分からないこんな展開に、現在の私の頭の中がハテナマークで埋め尽くされているのは言うまでもない。
なに、これ…?


