「…いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」
学年が違うせいか、先輩と学校で会うことは殆どないけれど。
久しぶりに見た先輩は相変わらずニコリとも笑わないし、なんなら前よりも仏頂面になっている気すらする。
だけど、逃げずに真正面からぶつかれば何かが壊せるような気がするから。
グッと握りしめた拳はじんわりと汗ばんでいて、それほど緊張しているのだと実感した。
「あのっ…私、佐東(さとう)美梨って言います」
「…は?」
「知らないと思いますけど先輩と同じ高校の一年生です」
「……」
「好きな食べ物はイチゴのショートケーキ。音楽は主にJ-POPを聴き、映画は邦画洋画問わず恋愛モノが大好きです」
「……」
「血液型はA型。犬と猫なら絶対犬派です。それから基本的に笑い上戸なので割とどうでもいいことで爆笑します」


