『突発性難聴で両耳聞こえなくなりました。』



音楽しか持ってない私はそれでもすがるようにピアノを続けた。



コンクール出場を辞めて、スパルタピアノ教室を変えて。



徐々に難聴は解消された。



それでも、今もなお



『私の左耳は何の音も拾ってくれないまま。』



そっと左耳に手を当てる。



ピアノの音を聞けば、聞こえるはずのない左耳から泣き声がする。
自分を高く評価されると息ができなくなる。



『他に何もできない私にはピアノしかなくて。
私の居場所はここにしかない。』



ピアノは私を苦しめる。



嫌いなもの。