最初は好きで好きで仕方がなくて、人生のすべてをピアノに捧げていると言ってもいいほどだった。



“もっと上を目指すんだ”
“もっと気持ちを込めて弾け”
“どうして一番じゃないんだ”



それがいつからかやりたくないものに変わった。
それでも私はつづけた。



毎日、毎日。
苦しくて、泣いて。



そしてある日私の世界から音が消えた。