10月31日夜8時。
普段なら家のソファに寝ころがってほっとミルク飲んでテレビを見ている時間。
私は部屋の窓から家を抜け出して近所を練り歩く。
「お母さんにばれたら怒られるもんね!
ふっふっふ…。この日のために魔女の衣装を頑張って作ったんだから…!」
頑張った甲斐あって満足のいく代物である。
この衣装代くらいはお菓子が欲しいものだ!
「かといって皆こんな時間に出歩かないものよね。うーん、友達はともかく他の人の家に押しかけるわけにもいかないし…」
となるとなかなか難しい。
やはり昼間の明るいところで集めた方がお菓子は集まっただろうか。
「だけど中学生にもなって一人でトリックオアトリートっていうのは恥ずかしいんだよね…う~。それもこれも皆が断るから~。」
友達は誘ったのだ。
だが皆恥ずかしいやら忙しいやらで断られた。
「こんなイベント一年に一度しかないんだしはっちゃけてもいいと思うのに…。」
まあいい。
とりあえず友達の家に行こう。
そしてバカにされたら思いっ切りイタズラをしてやろう!
「よーし!では出発!」
今までぶらぶらと歩いていた足に目的地ができ、意思をもって歩き出す。
住宅街は街灯の明かりしかなく、意外に暗い。
「う…。ちょっと怖くなってきちゃった…。私以外に同じ事をしてる人、いないのかな…?」
歩く。歩く。歩く。
「あれ…?私の家から皆の家ってこんなに遠かったっけ…?」
歩く。歩く。
「うぇ!?ここ…どこ!?」
いつの間にか知らない道に入ってしまったようだ。
「ちょっと待って…。どうしよう…。」
嫌な汗が出てきて、心臓がバクバクしてくる。
「えっと…、あっ!人!」
よかった…!ここの近所の人なのかな?お散歩?
まあ何でもいいや!道を聞こう!
「あのー、すみません…。道に迷ってしまったみたいなんですけど…。」
外灯で歩いていた人の姿がやっと見える。
小学生くらいの女の子だ。
足元が見えないくらい丈の長いワンピースを着て、頭に大きな赤いリボンを付けている。
「おねえちゃん、魔女なの?」
女の子はキョトンとした表情で聞いてくる。
私は最初訳が分からなかったがすぐに自分が魔女の格好をしていることに気づく。
「そうだよ、可愛いお嬢ちゃん。
ここで会えたのも何かのご縁だね。
魔女のお姉さんが君に魔法のお菓子をプレゼントしよう。」
本当はこんなことしてる場合じゃないが年下に助けを求めるのもあれだし、精一杯お姉さんぶってかごに入っていたお菓子を差し出すと、女の子は無表情ながら少し嬉しそうな顔をして受け取ってくれた。
そのとき触れた女の子は氷のように冷たかった。
「あれ…?」
ふと気がつくと女の子は居らず私は自宅の前の道に立っていた。
辺りは白んでまさに太陽が昇ってくる瞬間のようだ。
「え!?ちょっと!私が迷子になってる間にハロウィン終わっちゃったの!?うわー!」
「もー!うるっさい!
あ、あんた昨日の夜どこほっつき歩いてたの!?」
「げっ!お母さん!」
「あんた覚悟はできてるんだろうね?」
私がその後お母さんから大目玉を食らったことは言うまでもない。
普段なら家のソファに寝ころがってほっとミルク飲んでテレビを見ている時間。
私は部屋の窓から家を抜け出して近所を練り歩く。
「お母さんにばれたら怒られるもんね!
ふっふっふ…。この日のために魔女の衣装を頑張って作ったんだから…!」
頑張った甲斐あって満足のいく代物である。
この衣装代くらいはお菓子が欲しいものだ!
「かといって皆こんな時間に出歩かないものよね。うーん、友達はともかく他の人の家に押しかけるわけにもいかないし…」
となるとなかなか難しい。
やはり昼間の明るいところで集めた方がお菓子は集まっただろうか。
「だけど中学生にもなって一人でトリックオアトリートっていうのは恥ずかしいんだよね…う~。それもこれも皆が断るから~。」
友達は誘ったのだ。
だが皆恥ずかしいやら忙しいやらで断られた。
「こんなイベント一年に一度しかないんだしはっちゃけてもいいと思うのに…。」
まあいい。
とりあえず友達の家に行こう。
そしてバカにされたら思いっ切りイタズラをしてやろう!
「よーし!では出発!」
今までぶらぶらと歩いていた足に目的地ができ、意思をもって歩き出す。
住宅街は街灯の明かりしかなく、意外に暗い。
「う…。ちょっと怖くなってきちゃった…。私以外に同じ事をしてる人、いないのかな…?」
歩く。歩く。歩く。
「あれ…?私の家から皆の家ってこんなに遠かったっけ…?」
歩く。歩く。
「うぇ!?ここ…どこ!?」
いつの間にか知らない道に入ってしまったようだ。
「ちょっと待って…。どうしよう…。」
嫌な汗が出てきて、心臓がバクバクしてくる。
「えっと…、あっ!人!」
よかった…!ここの近所の人なのかな?お散歩?
まあ何でもいいや!道を聞こう!
「あのー、すみません…。道に迷ってしまったみたいなんですけど…。」
外灯で歩いていた人の姿がやっと見える。
小学生くらいの女の子だ。
足元が見えないくらい丈の長いワンピースを着て、頭に大きな赤いリボンを付けている。
「おねえちゃん、魔女なの?」
女の子はキョトンとした表情で聞いてくる。
私は最初訳が分からなかったがすぐに自分が魔女の格好をしていることに気づく。
「そうだよ、可愛いお嬢ちゃん。
ここで会えたのも何かのご縁だね。
魔女のお姉さんが君に魔法のお菓子をプレゼントしよう。」
本当はこんなことしてる場合じゃないが年下に助けを求めるのもあれだし、精一杯お姉さんぶってかごに入っていたお菓子を差し出すと、女の子は無表情ながら少し嬉しそうな顔をして受け取ってくれた。
そのとき触れた女の子は氷のように冷たかった。
「あれ…?」
ふと気がつくと女の子は居らず私は自宅の前の道に立っていた。
辺りは白んでまさに太陽が昇ってくる瞬間のようだ。
「え!?ちょっと!私が迷子になってる間にハロウィン終わっちゃったの!?うわー!」
「もー!うるっさい!
あ、あんた昨日の夜どこほっつき歩いてたの!?」
「げっ!お母さん!」
「あんた覚悟はできてるんだろうね?」
私がその後お母さんから大目玉を食らったことは言うまでもない。