雪の王子様






「どうしようか必死に考えた結果、逃げることにした。」




そう言った夏生に、お母さんたちが笑い出す。




「逃げることにしたって!」




「あはは…!!」





お母さん…




流石に夏生が可哀想だよ…





「けど、一回会ったらまた会いたくなっちゃって、それを利用したんだ。」




けど、お母さんたちを気にせず話す夏。




「会っても雪が降ったら消えようって。いつも雪が降る前に消えたら、風嘉なら、名前が“夏生”だから、雪が降ったら消えちゃうのって言えば信じると思ったんだ。」





そう言った夏生の顔は、少し赤かった。