「王子様は…お姫様が記憶がないと知ったら悲しむだろうと思って、お姫様から離れました。」 なぜか涙が溢れてきた。 「王子様は、それからお姫様と会わないようにしました。」 そこで話を止めたお母さんに、私は聞いた。 「つ、続きは…?」 「しかし、それから数年後、お姫様と王子様は出会ってしまいました。」 「そ…れで…?」 そう聞くと、お母さんは私の頭を撫で、 「この先はまだ分からないわ。風嘉と夏生くんの物語なんだから。」 と、言った。