雪の王子様






「あるところにお姫様がいました。」




…へ?




いきなり語り出すお母さんに、びっくりした。




「お、お母さん…?」




お母さんを見ると、聞いて?と微笑んでいるみたいに見えた。




だから、私はただ黙ってお母さんのお話を聞いた。




まるで、幼かった頃に戻ったように。




幼い頃、読み聞かせてくれたように。





「お姫様は、隣の国の王子様が大好きで、毎日遊んでいました」