それから数日後、あれからナツキには会わないまま、私は地元に帰ってきた。
あれが本当に“さよなら”になるなんて…
外に出たら、ナツキに会えるかなって思って外に出たけど…
ナツキには会えなかった。
「風嘉、お帰り。」
リビングに入ると、お母さんが特製パイを作って待ってくれていた。
「ただいま。」
暖房がついているせいか、なんだか熱く感じた。
暖房がないおばあちゃんの家では、家の中でも厚着をしていた。
「どうだった?楽しかったかしら。」
笑顔で聞いてくるお母さん。
いつもは“別に。”とか“普通だよ。”って答えてたけど…
「楽しかったよ。」
ナツキがいたからかな。
ナツキがいたから、楽しかったよ。


