雪の王子様





「もうすぐね、私、帰るの。」




ナツキをしっかり見て、言った。





「そっか。俺もだよ。」




ナツキも帰るんだ…




そういえばここが地元じゃないんだっけ。




「じゃあ、さよならだな。」




ナツキの言った“さよなら”に、なぜか心が寂しがっていた。




ナツキの顔を見ると、ナツキもどこか寂しそうだった。




「また、会えるかな…?」





少し勇気を出して、“また会えるよ”という答えを期待して言った。




けど…




「ナツキ…?」





ナツキはただ、寂しそうに微笑むだけだった。




「お使い、気を付けてね。」




ナツキ…?




ナツキが私の前から去って少しした時、雪が降った。




「ナツキ…?」




振り返っても、もうナツキはいない。




ねぇ、ナツキ。




どうして…?