ーーーダッダッダッダーーー

「おーはよ!加藤兄弟!」

後ろから突っ込まれ雪翔がバランスを崩す。

「痛っ!」

「大袈裟なだな、もやしっ子ー」

朝からうるさいこいつは、中本流星。サッカー部エース。

そして、私たちの幼なじみ。

「朝から元気だね、流星」

呆れながら私が言うと

「お前らが元気無さすぎなんだよ!
今日午前で終わるんだぞ?
嬉しくないのかー!」

そう返ってくると思った。

流星と私はおんなじクラス。

幼稚園からの腐れ縁でずっと一緒の学校だ。

「桃果おっはよ!」

七海が話しかけてくる。

七海は、中学の時の親友で、高校は違うけど、位置的に

近いから毎朝私たちと一緒に登校する。

いつもの4人が揃い、馴れ合いながら学校へ行くと

すぐに着いてしまった。


門の前で七海と別れ、流星と雪翔と門をくぐる。

「なんでこんな大きいんだろうな」

流星がそう言うと

今更何を言うんだって顔をしながら雪翔が答える。

「この学校は震災とかに備えて、ライフラインを

自分たちで創り出しているんだ。

そのために地下3階があって、そこに生徒は入れない。

だから、パンフレットとかには地下2階建てだとしか

書かれていない。

まあ、お前はサッカーがしたくて入ったんだもんな。

知らなくても無理ないか」

雪翔がそう言うと流星は、

「相変わらずの博学だな。さすが特進Sクラス」

「俺らはAで十分だよな。桃果。」

「そうだね。実際習うことはSと変わんないし」

私が肩をすくめる。

「お前らなあ...。じゃあ今日授業するか?」

「え、遠慮しときます。」

私と流星が同時に答える。

そうこうしているうちにエントランスに着き、ロッカーまで

行って上履きに履き替える。