彼女は夜を怖がった。
というよりも眠ることを怖がった。
明日目が覚めなかったらどうしようと、とてつもない不安にかられるらしい。

幸い俺と彼女の家はお隣さんだったので毎日窓から忍び込み、彼女が眠るまで楽しい話をしてやっていた。
家にある本が全部読み終わったら自分で作った話もしてやった。

「リクが隣にいると安心して眠れる気がするよ。聖女様みたいな幸せな夢がみられたらいいなぁ」

彼女は度々そう言っていた。