自分が参加すれば、きっと僕も優しいから参加してくれると思ったと、その優しさを利用したのだと、そう言った。

確かに、美麗さんが参加しなかったら絶対に演劇なんかに参加することはないが、それは僕の優しさからじゃない。

美麗さんは多分、それが自分じゃなかったとしても、誰かがいれば僕は参加すると思っているのだろうが、それは違う。

僕は美麗さんだから参加したのだ。

そんな僕の浅ましさにも気付かず、罪滅ぼしに僕の為にも頑張ると言ってくれた。

めんどくさいことに変わりはないが、美麗さんと一緒に誘われるのが僕でよかったなんて思っているような男なのに。

あぁ、知らないうちにこの人に溺れてしまいそうだ、なんて柄にもないことを考えてしまうくらいには、僕はもう美麗さんに惹かれてしまっていた。