眠り姫

美「じゃ、翔も準備出来てるならそろそろ出ようか。」

そんな風に俺が思っているなんて少しも気づかないだろうみぃは、そう言って玄関に向かった。

会場は2駅ほど離れた港の方で、電車には浴衣姿の人々がぎゅうぎゅうになって乗っていた。

その光景を見て既に驚いているみぃ。

だから言ったのに。

とりあえず、みぃを庇うようにして何とか電車に乗り込む。

美「ありがとう。」

俺のささやかな気遣いに気づいてそう言うみぃに、本当にデートのようだと今更ながらに思った。