眠り姫

その一見不愉快に思われても仕方の無い僕の言動に気づいてもなお、美麗さんはそれでいいのだと言った。

むしろ、お互いに大切に思っているが故の気遣いなのだと。

どこまで思慮深いのかと思う。

育ってきた境遇は決して恵まれたものではなかったであろうにも関わらず、真っ直ぐ大人になりつつあるこの人を純粋にすごいと思った。

蓮や僕も周りとは少し違う環境の中で育ってきた。

だからこそ、他と違う角度から物事を見たり考えたりする癖があるのだと思う。

でも、僕達のそれはどこか冷めたものだった。