それから家族のことや友達のこと、そんな興味もないお互いのことを少しだけ話して、私は本題と思われる家賃の件について、話をした。
「正直1人であれ払うのはちょっときついんだよね。まぁこのままも良くないと思ってるから、引越代金少し負担してもらえたら実家帰ろうと思ってる」
私なんかよりずっと稼いでいる洋介だ。
貰えるものは貰っておこうと思っていた。
「朱音が実家帰りたいならそれでいいけど、俺は今のままでもいいと思ってたよ」
「いやよくないでしょ」
イライラを抑えるために、ビールを一気に口に流し込んだ。
いいって何がだ。
2人で住むために買い揃えた家具の中で1人過ごすこの気持ちが、奴にはわかるわけもなかった。
「彼氏できたの?」
余計なお世話である。今の話となんの関係があるのだ。
「できてないけど。今関係なくない?」
涼くんには思っていることの半分も伝えられないが、洋介には必要以上のことまで話してしまう。
だからいつも喧嘩になるんだろうな。
「やり直したいんだ」
― は?
衝撃的な言葉に、思わず箸が手から滑り落ちていた。
会ってからろくに合わせなかった目線が交わると、私はあの頃に一気に引き戻される。
いつもいつもいつも。
洋介は昔から自分のペースに人を巻き込むのがうまかった。
でも今ならわかる。
洋介がうまいんじゃなくて、私が簡単だっただけなのだ。
今だってそう。
彼のその自分勝手な言葉に、喉の奥が熱くなっているのだから。
この流されやすい性格、どうにかならないものだろうか。

