乾杯して少しすると、慎太郎さんの合図で席替えをすることになった。
「涼と朱音ちゃんは意味ないから、そこは飛ばす」
彼は慣れた段取りで、席を指定した。
真琴さんの隣にはむーちゃん、その隣に理久さん、私。
私の向かい側に涼くん、亜美ちゃん、慎太郎さんの隣は真由子が死守する形になった。
「慎太郎もそう呼んでたから、俺も朱音ちゃんって呼んでもいいですか?」
隣に座るやいなや、くしゃっとした笑顔でこちらを伺うように顔を覗き込んだ理久さんに、ドキッとしてしまう。
昔から私は、イケメンと呼ばれる人種にとことん弱いのだ。
「あ、はい。呼び捨てでもなんでもどうぞ!」
「じゃあ今からせーので敬語やめましょう。敬語使ったら罰金100円です」
― なんだこの可愛い人。
つい口元が緩み、言われるがままにせーのと声を合わせた。
「朱音は、涼と付き合ってるわけじゃないんだ?」
直球どストレート。
まさかの質問に、私は噴き出してしまった。
「付き合ってないよ。そしたら合コンしないでしょ」
「そうだよね。よかったー」
にこっと笑った彼は、枝豆をリスのように両手でつまんで食べた。
その姿は、私の中に秘められた母性本能を、激しくくすぐる。
「理久くんは彼女いないの?すごいモテそうだけど」
「まぁモテるけど…彼女はいないよ」
彼くらいのイケメンになると、モテることを否定しない方が逆に好感を持てる。
それに続けて彼は、理久でいいよと言った。
「呼び捨てはちょっと…ハードル高い」
しどろもどろの私に、理久くんはいたずらっ子のような顔して「罰金だよ」と言い、私はあからさまに顔が熱くなる。
なにが涼くんしか見えないだ。
しっかり他の人にもドキドキしてるじゃないか。
単純な自分に毒を吐いた。

