待ち合わせしていたアルタ前には、すでにあと2人の姿があった。
「久しぶり~」
すらっとした美脚を覗かせる彼女は、幼馴染の真由子(まゆこ)。
幼稚園から高校までずっと一緒で、私の青春の思い出には必ず彼女が登場する。
「朱音から合コン誘われる日がくるなんて感慨深い…」
大袈裟なこと言うこの子は、亜美(あみ)ちゃん。
姉御肌で面倒見が良く、私がふらふらしているといつも導いてくれる子だ。
見た目はちょっときつそうに見えるのだが、洋介と別れたと報告したときには一番に電話をくれるほど、優しい子でもある。
こうして並ぶと、なんだかまるで同窓会のようだ。
“合流したから、今から向かいます”
涼くんにそうメッセージを送って、わいきゃいしながら歩いていると、真由子がじっと目を細めて私を見た。
「え、なに?」
「朱音さぁ…なんで年下のバンドマンと知り合ったの?」
真由子の疑いのまなざしに、私は洋介に振られ涼くんに出会ったあの日のことを簡単に話した。
涼くんとの関係はもちろん、飲み友達ということにして。
「はーなにそれ漫画かよ」
総ツッコミを受けながら、店の前に見つけた涼くんに手を振ると、彼は小さく手を振り返してくれた。
すると突然むーちゃんが、私の腕を引っ張る。
「え?どした?」
「待って、あれ?あの人なの?」
動揺した様子の彼女に、私の心臓は一瞬止まりかけた。
まさかむーちゃん、涼くんの知り合いなのだろうか。
「あれ白石さん!?」
真由子が声を荒げて、びくっとしてしまった。
もしかして。
「Besaidってバンドの…」
そう言いかけたところで2人は、やっぱりと手を叩いた。
そういえばこの2人、ちょこちょこフェスに行っているのはSNSで知ってはいたが、まさか涼くんたちを知っていたとは。
驚きと同時に、胸に不穏ななにかが立ち込めた。

