ビーサイド


「いいけど…私合コンってしたことないよ」

「大丈夫大丈夫。3人くらい友達呼べそう?」

考えるまでもなく、独身フリーの友人は、日頃から会っているあの子たちしかいない。
心当たりのあった私は、大丈夫だと思うと答えた。

「助かったー。まじありがと」

彼が言うには、先輩から同い年くらいの女の子という要望があったらしく、私に白羽の矢が立ったようである。

ただよく聞くと、その先輩は26歳だそうで。

「26と28って結構違うよ?大丈夫?」

「え、大丈夫でしょ。2つなんて変わんないよ」

― 下の2つならね。

その言葉を飲み込んで、ひとまず友人たちに都合を聞いてみることにした。

ただ問題は、相手が涼くん同様バンドマンであるということ。
私と同じ苦悩を抱える彼女らに、結婚の見込みのない男性を紹介するのは少し心苦しい気もした。

とはいえ、彼女たちくらいしか誘える友人のいない私は、丁重にお誘いのメッセージを送り、ぼけっとテレビを眺める。

最近流行りのアラサーの恋愛ドラマだ。
こんな風に素直になれたらいいけどこの人この先どうすんだろ、なんて無駄に感情移入していると、同じくぼけっとテレビを見ていた涼くんが、口を開いた。

「合コンしたことないって言ってたけどさ、元カレとはなんで知り合ったの?」

「え?あぁ…高校の先輩だったんだよね」

彼のような人種にとっては、28歳にもなって合コンをしたことがないだなんて、衝撃だったのかもしれない。

「同窓会とか?」

「違う違う。高校の時から付き合ってて」

私の言葉に、涼くんはばっとこちらに体を向けた。
驚いて私も彼の方を向くと、目を丸くした彼と視線がぶつかる。

「待って、それってかなり長くない?」

「あれ言ってなかったっけ?12年付き合ってたの。笑っちゃうよね~」

あの日、一番誰にも言えなかったことを彼に話していたことから、12年という話もしていたように思っていた。

涼くんの存在のおかげで、すでに私の中でそれは消化できていたのだが、初耳だった彼には相当に痛々しく思われたようだ。

涼くんは私を抱き締めた。