ビーサイド


それとももうこの歳になったら、こういうスキンシップって普通なのだろうか?

16歳から今日までずっと、洋介という彼氏のいた私は、例えば合コンとか街コンとか婚活パーティーとか、そういう場を経験したことは一度もなかった。
洋介以外の男性と接触することさえ、会社以外ではなかったように思う。

だからこういうのに慣れない。
というか、正解がわからないのだ。

「炭酸つよっ」

舌をぺろっと出して渋い顔をした白石さん。

「あは、かわい…あ、いやごめん」

心で思ったはずのことが、口に出ていた。

緊張のせいで、いつもよりずっと変に酔いが回っている気がする。
3杯のアルコールで酔えるほど可愛い女ではないのだが、今日は妙に頭がぼーっとしてしまう。

「それわざと?煽ってるの?」

白石さんは笑っている。だからきっとこれも冗談。

それなのに、その瞳はなんだかそんな風に感じなくて。
口元は緩んでいるのに、すごく男っぽい顔に見えるのだ。

― どうしよう。
目を逸らしたいのに、電車のときのように、また私は彼から目が離せない。

「ち、ちがうよ。怒らせちゃったならごめんね」

慌てて謝ったそのとき、白石さんの手が腰の辺りをそっと撫でた。

一瞬の出来事に体が跳ねて、顔熱くなる。

「朱音さんもかーわい」


だめだこの人。
なんだかすごくまずい気がしてきた。