季節外れの線香花火

そんなことを思っても口には出せないもどかしさにどこがむず痒い感覚に襲われる。

「朱里、勝負しようぜ
線香花火が負けたら、罰ゲームな」

「うん、いいよ
罰ゲームの内容は?」

平静を装え。

辛そうな顔をするな。

笑え。

「じゃあ、負けたら勝った方の言うことを聞く」

決まりな、って笑うその顔はいつもの颯太に戻っていて、

「わかった」

失恋した瞬間に好きが溢れて、

彼女のところに行かないで。

そんな言うことを君は聞いてくれるだろうか。

「「せーの」」

2人で付けた火はその一体の空気だけを明るく熱く照らして、照らしたけど、

「颯太、私に渡したの全部湿気てたんじゃないの?」

私の願いを嘲笑うかのように颯太の手元にだけ灯が残った。

「んなの俺に分かるわけねえだろが」

ばしっと私の肩を叩いた衝動でほんのり明るかった公園の灯が全て消える。