季節外れの線香花火

手渡された線香花火は3本で、1本、2本と、すぐに地面へ吸い込まれてしまう。

ああ、あと1本だけか。

そう思ったとき、颯太の携帯が震える。

「わり、待ってて」

「わかった」

少し離れて電話に出る颯太は、ついさっきとはまるで別人に見えた。

「あー、ちょっと待ってて
もうすぐしたら用事終わるからそれから会いに行くわ」

会いに行く、そんな言葉を聞いたのは初めてで戸惑ってしまう。

電話を終え戻ってきた颯太に、聞いてしまった。

聞いたらダメだと思いながら、

「電話、誰だったの?」

「ああ、彼女」

疑問が確信へ変わり、片想いが儚く散った。

「彼女、できたんだ、」

「夏休み前からかな、4組の前野くるみ」

あの可愛くて有名なくるみちゃんか。

今から会いに行くのかな、嫌だな。