家に着きすぐ横になった




(瞬ちゃん、結構背高いなぁ。楽しかったなぁ。)

無意識にエレベーターホールでの一時を思い出しているといつの間にか寝てしまっていた





『琴乃!電話!』

母親に起されて私は飛び起きた

受話器に耳を当てると、聞こえてきたのは

少し低い どこか安心感のある瞬ちゃんの声だった


「はい。」

『あ、琴乃さんですか?』

「うん」

『体調の方は大丈夫ですか?少しはマシ?』

「うん、寝たらだいぶ楽になったし大丈夫。」

『そっかそっか、なら良かった。明日は…?』

「大丈夫。行く。」

『分かった、じゃあ時間割は…』

「知ってるから大丈夫。」

『おう。じゃあ…今日はゆっくり休んで、明日また学校で。無理はしないように。』

「はーい。ありがと~。」

『うん~、じゃあね~!』

普段はお互いタメ口だけど、他の先生の目を気にして私に敬語を使うのが笑えた



そういえば瞬ちゃんはいつの間にか私のことを

“琴乃”

と呼んでいる


初日に出席をとる時

『“島田 この”さん…であってるかな?!』

「大丈夫です。」


なんてやり取りもあったが

今ではすっかり私自身も “この” と呼ばれることに慣れ、逆に“さん”を付けて呼ばれる方がむず痒い



電話を切った瞬間 自然と私はまた先生の顔を思い出した