愛って何よ?

永田係長は私の支度の早さに驚いたのか「大丈夫か?」と呟くように質問された。

「大丈夫ですよ。
一泊分の支度なら時間はこんなもんです」

シートベルトを絞めながら、少し軽い口調で伝えると了解の返事をして車を発信させた。

朝から息が詰まりっぱなしだったから、出張の目処は立ったし少し息を抜いても良いかもしれない。

「これ家にあったものですけど、どうぞ」

ひとつ目の赤信号のタイミングで缶コーヒーを差し出すと「あぁ、ありがとう」と受け取ってプルトップを開ける。