私の行動を見ながら電話をかけている永田係長に、首を振って山下くんが出なかった事を伝えると「野村は先に現地に迎え。山下に託した資料やサンプルは追って届けるから、メールでリストを寄越してくれ」と伝えた。

私はその間にも、山下くんのデスクのパソコンを立ち上げる。

心配でないと言うのは嘘になるけど、今は山下くんが何故来ないかは二の次だ。

今回の出張のファイルを開くと、出来る限りのスピードで必要そうな物を探してUSBにも保存していく。

永田係長は私がその作業を担ったのを確認しながら、別の部署に連絡を入れてサンプルなどの手配をしていた。