今年はまずまずのスタートを切れている。
穏やかな日常に満足し始めた頃、営業部にハプニングが起こった。

今日から出張のはずだった、野村くんからの一本の電話でそれは露呈する。

「は?山下が来ない?」

山下くんとは、営業部に去年配属になった二年目の男性社員で今日の午前中から関西方面に野村くんと出張の予定だった。 

電話を取った永田係長が珍しく焦った雰囲気を纏っていて、営業部に残っていた面々は騒然となった。

それを聞いて私は山下くんにすぐに電話をかけたけど、呼び出しは鳴ってしばらくすると電話は留守電のアナウンスに切り替わる。