モナを見送った目線の端で、リビングの隅に置いてある野村くんのバッグを見つけた。

目を覚ました時、近くにあった方が良いかな?

私はバッグを取って野村くんの枕元にカバンをソッと置いた。

その時、急に野村くんが起き上がって顔の距離が縮まる。

驚いた私は声も出ず、野村くんは不思議な物でも見るように目を細めている。

「…早川です!」
早鐘のようにドキドキと心臓が鳴っているのに、私は自分の名前を叫んだ。